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業界トレンド - ものづくり

マテリアルハンドリングとは|マテハン機器業界メーカーシェアと今後の見通し

工場や倉庫の業務をシームレスに推進していく原動力となるのが、マテリアルハンドリングの効率化です。マテハン機器の導入によって原材料や製品の移動の効率化が図れれば、省人化および人件費の削減にもつながっていくでしょう。

こちらでは、マテリアルハンドリングの目的や原則、代表的なマテハン機器、さらにマテハン業界の世界シェアなどに触れていきます。

この記事でわかること
  • マテリアルハンドリングとは、生産・物流拠点での「モノの移動」に関する取り扱いを指す
  • 製造業ではFA(生産工程の自動化)に関わり、納期の短縮や業務効率化につながる
  • 業務効率化・省人化の推進手段としてマテハンの需要は高まりを見せている

目次

    マテリアルハンドリング(マテハン/MH)とは

    マテリアルハンドリング(Material Handling)とは、生産拠点や物流拠点での原材料や半製品、製品といった「モノの移動」に関する取り扱いを指すものです。

    略語である「マテハン」が用いられるのが一般的で、マテリアルハンドリングの効率化に用いられる機器は、マテハン機器と呼ばれています。

    物流・製造業界における生産性向上・ヒューマンエラー削減に貢献

    マテリアルハンドリングの効率化によって、物流業界や製造業界では省人化やヒューマンエラーの削減による生産性の向上を実現できます。

    物流業界では、原材料の調達から生産、販売までのモノの流れを最適化するロジスティクスにおいて、製品情報をバーコードやICタグ、あるいはカメラで判別することでモノの流れを自動化し、情報を管理することが可能となります。

    また、製造業においては、マテリアルハンドリングはFA(ファクトリー・オートメーション)と呼ばれる工場の生産工程の自動化に関わります。

    マテリアルハンドリングの原則

    できるだけコストを抑えてモノを効率的に運搬するためには、次の4つの原則があります。

    マテリアルハンドリングではこれらの原則を踏まえ、モノを効率的に運搬できるようなオペレーションを構築していきます。

    広範な分野で活用されるマテハン機器

     

    マテリアルハンドリングでは、マテハン機器を有効に活用することで納期の短縮や業務効率化を実現します。

    運搬や仕分け、保管を担う代表的なマテハン機器を見ていきましょう。

    【運搬】搬送ロボット

    搬送ロボットとは産業用ロボットのひとつで、倉庫や工場にて部品や半製品、製品などを運搬する役割を担うものです。倉庫ではピッキング、工場では工程間搬送などに用いられています。この搬送ロボットの導入によって、運搬にかかる人件費を削減することが可能です。

    搬送ロボットのうち所定の位置で動くものには、2方向への直線運動によって運搬する単軸ロボットの「スライダー」や、複数の回転軸を持ち水平移動を行う「スカラロボット」といった種類があります。さらに、倉庫内をマッピングして搬送ルートを自動で判断し、人や障害物を避けて移動できる、AIを搭載した「自律走行搬送ロボット」も登場しています。

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    【仕分け】ソーター

    ソーターとは、コンベアで流れてくる製品を搬送先別や品種別に自動で仕分けをする機械です。バーコードを読み取る、あるいはカメラで識別するといった方法で仕分けが行われます。

    このソーターを活用することで、人による作業よりも短時間で大量の製品の仕分けが可能となるほか、正確性が高まる点もメリットになるでしょう。

    【保管】自動倉庫

    自動倉庫とは、製品の入庫や出荷、保管場所などをコンピューターで一元管理し、入出庫を自動で行う倉庫のことです。パレットなどはバーコードやICタグで管理され、棚への製品の搬入や搬出は、スタッカークレーンという昇降機能と前後への走行機能を持つクレーンの制御装置によって自動化されています。

    自動倉庫には、パレット単位での保管に向く「パレット自動倉庫」、バゲッド内に収納できるため不定形の製品の保管が可能な「バゲット自動倉庫」、段ボールやコンテナなどを含め形状や重量を問わず保管できる「フリーサイズ自動倉庫」といった種類があります。

    自動倉庫の導入には大規模な設備投資が必要になりますが、天井高いっぱいまで高く棚を積み上げられるため、空間を有効に利用することが可能であり、人件費を削減できることもメリットとなります。

    マテハン業界メーカーシェアと今後の見通し

    データ参照:「Modern Materials Handling」

    2020年に発表されたマテハン業界の2019年のシェアでは、ダイフクが1位、4位には村田機械と、TOP10に日本の企業2社がランクインしています

    このうち、シェアTOP3を占めるメーカーである「ダイフク」「Schaefer Holding International」「Dematic」について紹介していきます。

    ダイフク

    ダイフクは1937年創業、大阪に本社を構える東証一部上場企業です。マテリアルハンドリング業界では世界ナンバーワンのシェアを有し、北米や中国、韓国、台湾などを中心に、2020年時点での売上の65%以上を海外事業が占めるグローバル企業です。

    ダイフクは自動車や電機・電子機器、薬品、機械、食品などの幅広い製造業をはじめ、運輸業、倉庫業、流通業などに、保管や搬送、仕分け、ピッキングに関連するマテハン機器や情報システムを提供。マテハン機器のメーカーにとどまらず、システムインテグレーターとしての立ち位置を確立しています。

    一般製造業・流通業向けシステムやクリーンルーム用の半導体・液晶生産ライン向けシステム、自動車生産ライン向けシステムなどを主力事業としています。

    Schaefer Holding International

    Schaefer Holding International(シェーファー・ホールディング・インターナショナル)はドイツの世界的なマテハン機器メーカーで、シェーファー一族の経営による非公開企業です。

    コンテナシステムやピッキングシステムなどのほか、自動化に関するソフトウェアを取り扱い、工場や倉庫の効率化のためのシステムを包括的に提供できる体制をとっています。

    Dematic

    Dematic(デマティック)は、2016年に買収によってドイツのフォークリフト大手のキオングループの傘下に入りました。フォークリフトを納入している工場へDematicの搬送システムを導入するなど、工場や倉庫の効率化の提案力を向上させるという狙いがあったと見られています。

    2020年8月には、中国での工場建設に120億円を投資したことでも話題となりました。

    With/Afterコロナで需要が高まるマテハン業界の今後

    新型コロナウイルスの感染拡大の影響でECサイトが活況となったことにより、物流業界では荷扱い量が大幅に増加しました。しかし、物流業界はかねてから人手不足であったところに、感染防止対策を行いつつ、作業者を確保しなければならない状況となっている、難しい側面も見られます。

    消費者の購買スタイルの変化によって、EC市場はコロナ以前から市場規模が拡大していたことから、Afterコロナのフェーズになっても活況は続くことが見込まれます。そのため、物流業界を中心に業務効率化や省人化を推進していくための手段としてマテハンの需要が高まり、機器メーカーへの追い風が続くことが想定されます

     

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    まとめ

    マテリアルハンドリングの効率化は、省人化や人手不足の解消につながるとともに、ヒューマンエラーの削減にも寄与します。需要の高まりも後押しとなり、工場や倉庫では、今後マテハン機器の導入によるモノの移動の自動化が推進されていくでしょう。

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    この記事を書いた人

    Nikken→Tsunagu編集部

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