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職種別ノウハウ - 設備保全

自主保全士とは?資格取得のメリットと合格率【1級・2級】

設備保全に関する資格には、国家資格である保全技能士(機械保全技能士)のほかに、民間資格の「自主保全士」が知られています。自主保全士の資格習得を通じて、生産設備の維持管理のクオリティの向上が期待されるため、マシンオペレーターや従業員を雇用する企業の双方からニーズの高い資格です。

自主保全士の資格の概要と、取得によるメリットや取得方法、難易度などについて解説します。

この記事でわかること
  • 自主保全士とは、保全の一部機能や管理技術に関する知識や技能を評価する民間資格
  • 1級は職場チームのリーダーとして、保全計画の立案、実践指導ができる役割を想定
  • 2級は受験資格なし、1級は4年以上の実務が必要

目次

    自主保全士とは

    自主保全士とは

    自主保全士とは、公益社団法人日本プラントメンテナンス協会が認定する民間資格で、製造オペレーターを対象に、製造部門が受け持つ保全の一部機能や管理技術に関する知識や技能を評価するものです。

    保全技能士との違い:民間資格は意味がない?

    設備保全に関する資格には、自主保全士のほかに国家資格である保全技能士(機械保全技能士)があります。

      自主保全士 保全技能士
    分類 民間資格 国家資格
    主な対象者 製造機械の点検など、自主保全スキルのアップを目指す、製造現場のマシンオペレーター 機械保全を専門とするエンジニア
    認知度 相対的に低い(民間資格のため) 相対的に高い(国家資格のため)

    自主保全士と保全技能士の最大の違いは、民間資格か国家資格かという点です。なお、保全技能士は128職種ある国家技能検定のうち、機械保全に関する国家試験に該当し、特級、1級、2級、3級、基礎級が設けられています。

    また、自主保全士は製造現場のマシンオペレーターが自主保全に関するスキルアップを図ることを目的としています。一方、保全技能士は機械保全を担当するエンジニアが対象で、機械保全に関する知識の習得やスキルを証明することを目的としているという違いもあります。

     

    認知度の違いもあるため、自主保全士と保全技能士を比較すると「自主保全士の資格を取得しても意味がないのでは?」と感じるかもしれません。

    しかし、それは誤りです。自主保全士の資格取得は、マシンオペレーターの資格取得者と企業の双方にメリットがあるものです。

    資格取得者のメリット

    マシンオペレーターにとって、自主保全士の資格取得は次のようなメリットがあります。

    • 保全に関する知識やスキルが高まり、保全業務のレベルアップにつながる
    • 知識やスキルの正確性を再確認できる
    • 資格取得によってモチベーションを高められる
    • 機械など生産設備の高度化に対応できる
    • 保全に関する知識やスキルに対して、第三者による公平な評価を得られる

    機械などの生産設備が高度化するなか、マシンオペレーターは資格取得を通じて保全に関する知識を体系的に身につけられます。保全に関して一定の知識を有するマシンオペレーターも、改めて保全について学ぶことで、知識の幅が広がる、あるいは自分の知識やスキルの正確性を再確認できるでしょう。

    また、資格取得によって第三者からの認定を受けられることで、保全に関する知識やスキルを客観的に証明できます。

    企業・団体のメリット

    従業員が自主保全士の資格を取得すると、企業・団体にとっても以下のメリットが期待できます。

    • 従業員のモチベーションアップ・保全業務への意識が向上する
    • 従業員が自分の担当する設備の保全業務を自ら手掛ける意識を持つ
    • 保全業務のクオリティが高まる
    • 機械などの生産設備の故障や製品の品質不良の早期発見につながる
    • 機械などの生産設備の故障につながる潜在的な欠陥の発見につながる
    • ロス発生の削減と未然防止によって生産性が向上する

    自主保全士の資格取得を通じて、従業員の保全業務への意識やクオリティが向上すると、生産設備の不具合の早期発見につながることが期待できます。また、生産設備の故障につながる潜在的な欠陥が発見できれば、ロスを未然に防止し生産性が向上するなどの効果も見込めます。

    自主保全士の資格詳細:1級・2級の違い

    自主保全士の資格には1級と2級が設けられています。

    1級は職場のチームのリーダーとして、自主保全の計画・立案や実践指導ができる役割が想定されています。

    一方、2級は製造部門の一員として、自分が担当する設備や工程、作業に関する自主保全を担当できるレベルとなります。

    なお、自主保全士の受験資格は次のように規定されています。

    • 1級:実務経験4年以上
    • 2級:経歴の制限はなく誰でも受験可能

    資格取得方法と難易度

    資格取得方法と難易度

    自主保全士の資格を取得するには、検定試験と通信教育の2つの方法があります。

    通信教育によって取得する場合はレポートの提出が5回あり、レポートの合否判定も実施され、レポートの単位の取得後に認定試験への合格が必要です。

    自主保全士を検定試験によって取得する場合には、試験時間の120分間で学科試験と実技試験に回答し、合否基準に達していると合格となります。

    年度による違いもありますが、1級・2級ともに合格率は50%前後。2級のほうがやや合格率は高い水準にありますが、両者の実際の難易度は大きく異なります。

    実務を行っている人であれば、基礎知識をあらためて整理し身につけなおすことで2級は十分に合格できる内容です。一方、1級は専門的な知識も問われるため、合格するには受験対策のテキストや問題集で相応の学習を行うことが欠かせません。

      1級 2級
    試験方式 120分/
    学科試験(正誤判定 100問)
    実技試験(多肢選択式、記述式 10課題)
    120分/
    学科試験(正誤判定 100問)
    実技試験(多肢選択式 10課題)
    合否基準 学科試験75点以上/100点、かつ実技試験75点以上/100点 学科試験75点以上/100点、かつ実技試験75点以上/100点
    合格率 2021年:49.1%
    2020年:29.8%
    2019年:54.9%
    2021年:56.6%
    2020年:48.8%
    2019年:65.2%
    受験料 9,350円 7,200円

    自主保全士の試験内容

    自主保全士の学科試験および実技試験は、下記の内容から出題されます。

      1級 2級
    学科試験 ●生産の基本
    ●設備の日常保全(自主保全全般)
    ●効率化の考え方とロスの捉え方
    ●改善・解析の知識
    ●生産の基本
    ●設備の日常保全(自主保全全般)
    ●効率化の考え方とロスの捉え方
    ●改善・解析の知識
    実技試験 以下から10課題を出題
    ●作業の安全
    ●QC手法(パレート図)
    ●自主保全活動支援ツール
    ●自主保全仮基準書の作成
    ●総点検
    ●自主点検
    ●故障ゼロの考え方
    ●PM分析
    ●作業改善のためのIE
    ●潤滑
    ●油圧
    ●駆動・伝達
    ●測定機器
    ●図面の見方
    ●選択問題
    └選択A:設備総合効率(加工・組立)
    └選択B:プラント総合効率(装置産業)
    以下から10課題を出題
    ●作業の安全
    ●5Sに関する知識
    ●QC手法(パレート図)
    ●自主保全活動支援ツール
    ●発生源・困難個所対策
    ●総点検
    ●故障ゼロの考え方
    ●QCストーリー
    ●なぜなぜ分析
    ●潤滑
    ●駆動・伝達
    ●工作機械
    ●図面の見方
    ●選択問題
    └選択A:設備の効率化を阻害するロス(加工・組立)
    └選択B:プラントの効率化を阻害するロス(装置産業)

    1級と2級では実技試験の内容に顕著な差分が見られ、1級はより実践的な内容のほか、マネジメントスキルやプランニング能力が求められます。また、1級になると記述方式での回答も問われます。

    自主保全士の勉強方法・過去問・参考書

    自主保全士の勉強では、公益社団法人日本プラントメンテナンス協会の公式テキストや学科問題集、実技問題集を用いるのが基本です。

    まずは公式テキストに一通り目を通し、学科試験の問題集を繰り返し解きます。学科試験の問題がわからなければ、実技試験の問題を解くのも難しくなるため、学科試験の内容をある程度理解してから実技試験の問題集に進みましょう。

    実技試験の問題集も繰り返し解いたら、問題集に掲載されている過去問にチャレンジしてください。

    自主保全士の過去問や出題サンプルは、公益社団法人日本プラントメンテナンス協会のホームページで確認できます。また、公式テキストや問題集は日本能率協会マネジメントセンターの公式通販サイトのほか、Amazonなどでも入手が可能です。

    まとめ

    自主保全士の資格取得は、生産設備の保全業務のクオリティ向上に役立つものです。マシンオペレーター一人一人の設備保全に関する意識が高まることで、ロスの防止など生産性の向上にもつながっていくでしょう。

    日研トータルソーシングは、2010年4月~2022年3月で約760名の自主保全士の資格保有実績を有します。また、日研テクノセンターの保全に関する研修プログラムを修了した人材は、2級保全技能士相当の知識やスキルが身についています。

    設備保全のクオリティ向上にあたり、弊社の人材サービスのご活用をぜひご検討ください。

    この記事を書いた人

    Nikken→Tsunagu編集部

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